米国の雇用統計は、労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics、BLS)によって、毎月第1金曜日に発表されます。日本の時間における発表時間は、米国が夏時間のときは、午後9時半、冬時間のときは午後10時半になります。
米雇用統計は、日本の雇用統計に比べ、速報性に優れています。日本では、雇用統計が月末に発表されますが、米雇用統計は、ある月の統計結果が、次の月の第1金曜日に発表されます。
米雇用統計は、2つの方法で調査されます。1つは、事業所を対象にした調査で、「非農業部門雇用者数(nonfarm payroll employment,
NFP)」を調査します。もう1つは、家計調査を行い、「失業率(unemployment rate)」を調査します。
事業所調査では、14万社の企業や政府系機関に対する調査を行うのに対し、家計調査はアンケート調査で、6万世帯に対して行われます。そのため、事業所調査の方がサンプル数で優れており、それだけ信頼性が高いともいえます。ただし、家計調査では、事業所調査では明らかにされない雇用の側面も分かりますので、場合によっては家計調査の方が重視されることもあります。
米国の雇用情勢の評価としては、日経新聞のコラム「なるほど投資講座」の「米国の雇用統計(著者:高橋祥夫)」によると、非農業部門の雇用者数が、15万人前後であれば標準だ、という考えがあります。この15万人を基準にし、例えば10万人以下であれば「弱い」、20万人以上の増加であれば「強い」という印象があるというものです。
なお、内訳として民間雇用と政府雇用も出ます。選挙や大規模な調査が行われた場合、政府雇用が一時的に増えることがあるため、民間雇用の方がより実態を表していると考えられます。
また、事業所調査では、雇用者数だけではなく、労働時間と賃金のデータも公表されます。なかでも、「総労働投入時間」は、どれだけの労働力が投入されたのかを示し、特にサービス業の動向を示す貴重な情報となります。総労働投入時間は、雇用者数に週平均労働時間を掛けたものです。
また、「総労働投入時間」に時間当たり賃金を掛け合わせると、支払われた賃金の総量(労働所得)が分かります。
家計調査では失業率が分かりますが、失業者の定義は「調査週において仕事がなく、すぐに就業が可能で過去四週以内に求職活動を行った人」です。つまり、労働力人口のうち、求職活動をしているにもかかわらず、職に就けずにいる人が占める割合が、失業率となります。
つまり、
労働力人口=就業者 + 失業者
ですので、失業率とは、
失業率 = 失業者 / 労働力人口
です。
金融市場において失業率が重視される理由は、米連邦準備理事会(Federal Reserve Board、FRB)には、最大限の雇用を達成する、という義務があるからです。そして、FRBは、経済予測で5.2%~6.0%の失業率が中期的に望ましいと表明しているようです。
なお、直近の調査結果(2012年5月)では、非農業部門雇用者数は69000人増、失業率は8.2%で前の月とほとんど変化がありませんでした。
アメリカの雇用統計
重要度:☆☆☆☆☆5/5
アメリカ労働省労働統計局のウェブサイト U.S. Bureau of Labor Statistics (BLS)
発表時期:毎月第1金曜日
ポイント:
雇用者数の上昇→ドル高要因
失業率の上昇→ドル安要因
アメリカ労働省労働統計局のウェブサイト U.S. Bureau of Labor Statistics (BLS)
発表時期:毎月第1金曜日
ポイント:
雇用者数の上昇→ドル高要因
失業率の上昇→ドル安要因
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