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景気ウォッチャー調査

日本経済新聞(2012年5月23日朝刊)にて、「街角景気で株価を読む」という記事を読みました。なかなか興味深い記事でした。

この記事では、内閣府が毎月発表する「景気ウォッチャー調査(Economy Watchers Survey)」が、どのように株価に影響しているのかを示しています。

内閣府「景気ウォッチャー調査」のサイト

この記事によると、景気ウォッチャー調査(街角景気指数)は、代表的な景気指数である鉱工業生産指数よりも、先行性において優れているとのこと。その理由の一つとして、多くの景気指標が集計から発表まで数か月の時間が必要なのに対し、景気ウォッチャー調査は、調査から発表までの時間差が短いことが挙げられます。

通常、株価は景気を半年くらい先行することが多いですが、そのうえ景気指標の発表に数か月の時間が必要ということであれば、景気指標が発表されるころには、株価はすでにその情報を織り込み済みであることが多いです。ところが、景気ウォッチャー調査は、株価とほぼ連動するか、もしくは先行して動くこともあるとのこと。

この記事が面白いのは、実際に景気ウォッチャー調査に基づいて日経平均株価の取引をした場合に、運用成績がどうなったのかを試算してみたところです。この試算は、前提条件として、2000年以降、前月比で現状判断指数が1以上改善すればその日の終値で買い、1以上悪化したときに売ることができた場合の損益を計算するというもの。

果たして、この試算の結果、運用成績は、実際の日経平均株価よりも大きな利益を生み出す結果となったそうです。グラフを見てみると、2000年に比べ、日経平均株価が半分以下になったのに対し、街角ウォッチャー調査に基づいた日経平均株価指数の売買では、30%ほどの利益が出ていました。

記事でも紹介されている、「景気ウォッチャー投資法」入門(著者:野田聖二)によると、(1)現状指数が1.5以上改善(2)先行き指数も改善 という条件を満たせば「買い」のサインだそうです。この本の著者の野田聖二さんは、この景気ウォッチャー調査を使うことで、投資収益を高めることが可能、とコメントしています。

かと言って、景気ウォッチャー調査に必ず連動して株価が決定することはないですし、この調査だけを信頼し、これに基づいてのみ投資判断を下すのは、記事でも言われているように危険だと思います。ただ、中長期的な投資の判断のツールの一つとして、有効な判断材料になる可能性も秘めていると思います。


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